獅子是好日

ファン歴約30余年。埼玉西武ライオンズに関することなどを書きます。

おかえりくんと呼びたくて

優勝決定後の監督、選手合同での記者会見。開幕ダッシュ~前半戦における快進撃の時点で今季の西武の優勝を予感した人も、優勝の立役者たちが並ぶあの席に中村が座ることまでは予想できなかったはずだ。

昨年の夏、山川がブレークし、四番の座が交代した。中村はホームラン王争いにも顔を出していたが次第に失速。規定打席到達にしてホームラン王になれない初のシーズンとなった。

今季、山川はオープン戦で絶不調に陥るが中村の助言で無事開幕直前に復活。不動の四番としてシーズンを全うした。山川が覚醒する一方で中村が衰えてしまえば、西武打線全体とすれば山川が中村に替わっただけになってしまう。果たして中村は開幕から下位打線に座るも、打てない日々が続く。他の若手が打ちまくって勝利を積み重ねるも、自身の調子はいっこうにあがらない。西武ファンからは「お荷物くん」「おすわりくん」「おわりくん」「いちわりくん」と呼ばれた。4月末にはついにけがもあって二軍落ち。世代交代は免れないと思われた。

しかし交流戦明け7月以降、中村が突如目覚めた。ホームランを量産。打順は当初八番だったが徐々にあがり、最終的には五、六番に。8月は月間MVPを獲得、シーズン終盤は栗山とともに10年前の日本一を知るメンバーとしてチームを鼓舞する働きも見せた。ネーミングセンスあるファンが手のひらを返したのはいうまでもない。
個人的に中村は現役でもトップレベルに大好きな選手だ。歴代の獅子の中でも五指に入る。常にホームランを狙うプレースタイルには唯一無二の魅力を感じるからだ。それだけに復活を願った。中村が四番にいた9年は優勝できなかった日々でもある。なんかかわいそうじゃないか。このまま終わったら切ないじゃないか。そんな思いだったしその後の活躍に喜んだ。

 

97試合でホームラン28本、74打点、打率.265。今季はトータルで見たら中村史上は平凡な数字かもしれない。しかし中村ファンにとってはぶっちぎりでホームラン王に輝いた年と同じくらい忘れられないシーズンになったのではなかろうか。
ポストシーズンもその経験と力を存分に発揮してほしい。